
2026年9月20日(日)-21(月)、
長崎県立総合体育館で、40歳以上のカテゴリーのバスケットボール九州大会が開催されていました🏀
その大会に大分県チームのトレーナーとして帯同していた、旧知の
石甲斐トレーナー(理学療法士)
から連絡が入りました。
「試合中にアキレス腱を損傷した可能性がある選手がいるので、一度みてもらえないか」
との相談でした。
休院日でしたが、当院で急患対応することになりました。
石甲斐トレーナーは長きにわたり、大分県のバスケットボール協会トレーナーとして
大分県代表選手
の帯同をされています。
今回は大会帯同中の選手について相談をいただきました。
スポーツ現場では、
「これはプレーを続けてよい状態なのか?」
「すぐに医療機関につなぐ必要があるのか?」
という判断がとても重要になります。
今回は、その場での所見からアキレス腱断裂の可能性を考える必要がある状態でした。
アキレス腱断裂というと、
「アキレス腱が切れているなら、足首は全く動かないのでは?」
と思われる方も多いと思います。
ところが、実際にはそうとは限りません。
アキレス腱が断裂していても、
後脛骨筋や長母趾屈筋など、足関節の底屈を補助する筋肉
が働くため、
わずかに自分で足首を下へ動かすことができる場合があります。
つまり、
とは判断できません。
動画では、アキレス腱断裂が疑われる側でも、わずかに足関節を底屈できています。
そのため、自動運動だけでアキレス腱断裂の有無を判断しないことが大切です。
余談ですが、1年以上放置の陳旧例も供覧してますね。
高齢の女子、旅先で足を「捻挫」したというhistoryの方です。
歩くと変ということで、整形外科を受診し「足関節捻挫」と診断された?
その後、他整骨院に行ったが、症状変わらず、当院に来所されています。
この方は、整骨院で、どうこうできるレベルのケガではないので、OPEが可能な病院(整形外科)を紹介し転医となっています。
※足関節捻挫をしたという患者さんの訴えで、実は、アキレス腱断裂ということもあるのです(汗)
アキレス腱断裂を確認するときに行う代表的な徒手検査のひとつが、
です。
うつ伏せになった状態でふくらはぎを圧迫すると、
正常なアキレス腱では、その力が踵まで伝わり、足関節に底屈方向の動きがみられます。
一方で、アキレス腱の連続性が失われている場合には、この反応が弱くなったり、みられなくなったりします。
今回は、右下腿を健側、左下腿を患側として左右を比較しています。
左右を比較すると、ふくらはぎを圧迫した際の足関節の反応の違いが分かります。
徒手検査だけで最終的な診断を行うものではありませんが、
アキレス腱断裂を疑う重要な所見のひとつになります。
先ほどの、陳旧例の高齢女性の方のトンプソンスクィーズテストはこちらです。
はしぐち整骨院では、スポーツ外傷などに対して
エコー(超音波画像観察装置)
を使用し、
筋肉・腱・靱帯・骨表面などの状態を確認しています。
今回も、健側と患側を比較しながらアキレス腱を観察しました。

患側:左下腿/健側:右下腿
長軸像では、
画面左側=近位
画面右側=遠位(踵骨側)
として観察しています。
黄色で示した部分が踵骨です。
健側では、アキレス腱の線維が踵骨方向へ連続している様子を確認できます。
患側と健側を同じ条件で比較することで、腱の太さや線維の連続性などを確認していきます。
今回、特に分かりやすかったのがこちらの画像です。

左が患側(左下腿)、
右が**健側(右下腿)**です。
健側では、アキレス腱につながる組織の線維走行が比較的連続して観察できます。
一方、患側では、
線維の連続性が途絶えているようにみえる部分と、低エコー域
が確認されました。
今回の身体所見や徒手検査と合わせ、
アキレス腱断裂を疑う所見
と考えました。
※エコー画像観察のみで医学的な確定診断を行うものではありません。

短軸像ではアキレス腱を横断面から観察します。
左が患側、右が健側です。
短軸像では、
などを確認します。
今回も、長軸像だけを見るのではなく、短軸像と組み合わせて立体的に状態を確認しました。
身体所見、
トンプソンスクィーズテスト、
エコー画像観察などを総合し、
今回は左アキレス腱断裂を疑う状態と判断しました。
選手は大分県から大会参加のため長崎へ来られており、そのまま大分県へ戻らなければなりません。
そこで、移動中にできるだけ患部へ負担がかからないよう、
を行いました。

アキレス腱断裂が疑われる場合、初期には足関節を底屈位に保持し、断裂した腱の両端が離れすぎないようにすることが重要です。
今回も、状態を確認しながら固定を行いました。

固定後、移動時の状態も確認。
急患対応でしたが、必要な初期処置を行い、
大分県へ戻っていただくことができました。
今回のように、大会中のケガでは
「今日の試合をどうするか」
だけではなく、
その後の治療に影響を残さない初期対応
が重要です。
特にアキレス腱断裂では、
「歩けるから大丈夫」
「足首が少し動くから大丈夫」
と考えてしまうと、見逃される可能性があります。
今回のように、
身体所見
↓
徒手検査
↓
エコー画像観察
↓
必要な固定
↓
医療機関での精査へ
とつないでいくことが大切です。

左右を比べて観察することも、とても重要です。
ケガをしている側だけを見ていると分かりにくい変化も、
健側と比較すると違いが見えてくることがあります。
これはエコー画像観察でも同じです。
今回のようなスポーツ大会中のケガだけでなく、
など、
急な外傷にも可能な範囲で対応しています。
当院では、
外傷の身体所見
+ エコー画像観察
+ 固定
+ 必要に応じた整形外科との連携
を大切にしています。
「これくらいなら大丈夫かな?」
と思っても、スポーツ中の急なケガでは思った以上の損傷が隠れていることがあります。
気になる場合は、早めにご相談ください( `ー´)ノ

今回は、ご連絡いただいた石甲斐トレーナーのおかげで、選手が大分県へ戻る前に状態を確認し、初期対応を行うことができました。
スポーツ現場と医療・施術施設が連携することで、
選手にとってより安全な対応につなげることができます。
石甲斐トレーナー、ご連絡ありがとうございました🏀
何かあった際は、ぜひご相談ください( `ー´)ノ
急患の対応もしています。
☏0120-983-395(フリーコール)
・LINEで予約
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※当日の急な予約も承っておりますので、お気軽にお問い合わせくださいね!
※写真は本人の許可を得ています。
※写真や本ブログの転載・流用厳禁です。
※当院で行うエコーは、身体の状態を確認するための画像観察です。医学的な確定診断は医師が行います。
参考文献
1.Aminlari A, et al. Diagnosing Achilles Tendon Rupture with Ultrasound in Patients Treated Surgically: A Systematic Review and Meta-Analysis. 2021.
2.Dams OC, et al. Imaging modalities in the diagnosis and monitoring of Achilles tendon ruptures: A systematic review. Injury. 2017;48:2383-2399.
3.Fenech M, Ajjikuttira A, Edwards H. Ultrasound assessment of acute Achilles tendon rupture and measurement of the tendon gap. Australas J Ultrasound Med. 2024;27(2):106-119.
監修:橋口浩治https://researchmap.jp/Koji.HASHIGUCHI
修士(スポーツ学),学士(柔道整復学)
柔道整復師,柔道整復専科教員,接骨医学会認定柔道整復師
(公財)日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー